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2024年03月11日農産ブログ

復興を期すミスズライフ

こんにちは、農産バイヤーの吉岡です。

2024年元日の午後4時10分、能登地方で大規模な地震が発生しました。地震の規模を示すマグニチュードは7.6で、内陸部で発生する地震としては極めて大きい規模だということです。

今回の震災により町は甚大な被害に見舞われました。コープ北陸の取引先でも被災したメーカーや産地が数多くあります。そのひとつが、石川県穴水町にあるミスズライフさん。コープファミリーでもおなじみ「奥能登カットぶなしめじ」を卸してくれているメーカーさんです。

3月8日(金)、雪が舞い真冬のような寒さが残る中、穴水町にあるミスズライフさんへお見舞いに行ってまいりました。
道中は、地割れや隆起した道路、ぺしゃんこにつぶれた家屋など、筆舌に尽くし難い光景の連続で、胸が張り裂ける思いでした。自衛隊や警察、建設関係など県外ナンバーの車両の行き来も多く、全国から復興支援の手がまさに能登半島に入っているといった様子です。

気持ちが晴れないままミスズライフに到着。工場の復旧作業で忙しいにも関わらず、長野本社から来ていた広瀬副社長、北原本部長、能登工場の田中工場長、営業担当の加藤さんらが手厚く我々を出迎えてくれてました。

 お見舞金をお渡ししました

事務所に上がると、寝袋や簡易ベッドが雑然と置かれており、聞くとそこで寝泊りをしながら復旧作業にあたっている人もいるそうです。地元に住む従業員の中には避難所での生活を余儀なくされてる人たちも多く現在出勤できているのは半数ほど。当然、操業は停止しており、今は工場の復旧作業に専念しているとのこと。

 到着後しばし面談。当時の生々しい様子など話を伺いました

こちらに向かう道すがら、警察車両の異常なほどの多さに疑問を感じていました。警察の方も、自衛隊やボランティアの方々と同様に炊き出しやがれきの撤去作業などのお手伝いでもしているのかと。
理由を尋ねたところ、もっぱら防犯だそう。火事場泥棒や被災者の弱り目に付け込んだ悪質な点検商法などに目を光らせているのだそうです。これだけの警察が出動しなければいけない現実には、なんだか悲しい気持ちになりますね。

ぶなしめじは、「培地調合→殺菌・冷却→接種→培養→菌かき→生育」といった工程で栽培を行っていきます。工程によって部屋が分けられているのですが、どこを見てもしっちゃかめっちゃかで、複数の従業員が棚の立て直しや、設備のメンテナンス、掃除などにあたっていました。

培養室。棚はほとんど崩落し、埋没したフォークリフトを探し出すところからのスタートだったそうです

工場長の田中さんが震災発生後に駆け付け工場の中を見たときは、まさに唖然茫然という感じだったそうです。ポッド(培地が入った生育瓶)が並んだ棚がそこかしこで崩れ落ち、胞子が舞い散り、部屋全体が白濁していて、当時の衝撃の大きさを物語っていました。

 胞子が舞い、部屋全体が白く濁った生育室。清掃はまだ手付かずでこれからです

今年の年末年始は、曜日並びの関係で元日も出勤して業務にあたるスタッフがいたそうです。1日未明から午後2時まで業務にあたっており、その2時間後にあの大地震。もしも発災時まで残って仕事していたとしたら、うずたかく積み上がった棚の下敷きになって命を落としていたかも知れない、そんな話も聞き背筋が凍る思いでした。

初めは被災した工場内の様子を見てスタッフみんな途方に暮れていたそうですが、現在は復旧計画も見えてきて、秋の稼働再開を目指し従業員の心が一つになってきたところだそうです。弱音を見せず前向きにそう語る工場長の言葉は一筋の光明を見る思いでした。同時にパートナーとして何とか力になりたいと強く感じました。

 工場長の田中さん(右から2番目)らと一緒に。復興に向けパートナーとして寄り添っていきます

幸いにして無事だったポッドもあります。それらは通常(2ヶ月)の倍以上の培養期間を経て育ったぶなじめじとして出荷されることになります。まさに大きな揺れを耐え忍んで育った「復興のぶなしめじ」です。数量限定になるかも知れませんが、今年の秋の再開時に組合員のみなさんにご案内できればと考えています。