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2023年08月08日検査室だより

えびフライを使ったアレルギー実験(3)

生のエビと卵を使った手作りえびフライで挑戦!
揚げカスが入らないようにキッチンペーパーを使って濾した油を使います。

(1)油をかえて挑戦!まずはえびフライ5尾。この油を検査するよ。
(2)続けてナスを揚げます。
(3)揚げカスを取り除くよ。
(4)この油も検査してみるよ。

(5)次にこの油を使ってナスを揚げてみるよ。
(6)このナスも検査するよ。

≪結果≫

エビと小麦の検査では(2)と(3)に、卵の検査では(2)に赤い線が見えたよ!

(4) キッチンペーパーで濾した油(検証対象)(-)(-)(-)(5) キッチンペーパーで濾した油で揚げたナス(検証対象)(-)(-)(-)

えび 小麦
(1) 未使用の油で揚げたナス(比較用) (-) (-) (-)
(2) えびフライを揚げた油で揚げたナス(検証対象) (+) (+) (+)
(3) えびフライを揚げた油(検証対象) (+) (+) (-)

(+)が陽性(アレルゲン検出あり)

手作りえびフライを揚げた実験では、ナスに「えび」「小麦」「卵」のアレルゲンが確認できたよ。また、揚げ油には「えび」「小麦」のアレルゲンが確認できたんだ。
でも、キッチンペーパーで濾した油と、濾した油で揚げたナスからは何も検出できなかった・・・。

冷凍食品でも、手作りえびフライでも、揚げた後の油とナスからはアレルゲンの検出があったよ。これは、揚げた後の油には「揚げカス」が残っていたから、「小麦アレルゲン」は「揚げカス」の影響があったんじゃないかな。
手作りえびフライでは「えび」「卵」も検出されたけど、細かな「揚げカス」や水分と一緒に揚げ油に残っていたからだと思うんだ。
キッチンペーパーで油を濾すと、どのアレルゲンも検出されなかったから、キッチンペーパーが揚げカスだけでなく、アレルゲンも取り除いてくれたんだと思う。
よし! 先生に聞いてみよう!

先生!今回の実験では、エビフライを揚げた油で「小麦アレルゲン」が陽性、濾した油では陰性となりました。これは、揚げ油にアレルゲンが溶けていて、キッチンペーパーで濾すと、揚げカスと一緒にアレルゲンも取り除けたということですか?

いやいや ちょっとまって あんあんくん。
そもそも「水と油は混ざらない」、一方で「アレルゲン(高たんぱく質または低分子たんぱく質)は油に溶けない。ということがあるんだよ。

だけど、実験の結果ではアレルゲンが検出されている・・・
これは、油とそれぞれのアレルゲンが接触して、油の中にアレルゲンが移動したものと考えられるのだよ。
実験の方法によって、アレルゲン物質が検出されたり、検出されなかったりするのは、量の問題が考えられるね。

油の中にアレルゲンが移動したのに溶けていないの???

う~ん、そうだねぇ・・・
「溶けている」というより「混じっている」状態かな?
油の中にアレルゲンが検出される要因としては、アレルゲンは油の中に漂っている状態にあったと想定されるね。

そうなんだ~
だからキッチンペーパーで取り除けたんだ。

そうだね。
だけど、たんぱく質の「分子」って、ものすごく小さいんだ。今回は検出されなかったけど、必ずしも取り切れるとは限らないよ。
だから、安全性を考えると、アレルゲンを含む食品を使用した油は再利用しないことが重要なんだ。

それと、アレルゲンと接触した食器・器具はよく洗浄して利用することがとても大切なんだよ。

アレルギーは命にかかわることもあるから、よくよく注意しないといけないんですね。先生、ありがとうございました。

今回は、キッチンペーパーで濾した油ではアレルゲンの検出がありませんしたが、完全にアレルゲンを取り除くことは難しいので、キッチンペーパーで濾したから大丈夫とは言えません。
一般的にアレルゲンはタンパク質でできているので油には溶けないそうですが、一度使用した油には「揚げカス」や「水分」などいろいろなものが残っています。これらの「油以外のもの」がアレルゲンに影響すると考えると、「揚げ油にはアレルゲンが残る」と考えた方が良いと思われます。